Pipette vol.33 2021.10 Autumn
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一般社団法人日本内分泌学会HPより甲状腺で分泌されるホルモンが過剰に分泌されて、甲状腺の機能が異常に高くなる病気です。甲状腺ホルモンは、新陳代謝を刺激し促進する作用があるので、食事で得られたれたタンパク質、脂肪、炭水化物を代謝し体の組織を作る材料や体を動かすエネルギー源となります。ホルモンが過剰に分泌されてしまうと、新陳代謝が活発になりすぎるため、休みなく運動しているような状態となり、体力が消耗します。体力が消耗するため食欲は増すのに、それ以上にエネルギーが消費されることから、食べても食べても体重が減り、疲れやすい、汗をかきやすい、下痢をしやすいなどといった症状も出てきます。他にも、動悸・脈が早くなる。手の指が震えるようになる。よく眠れない。精神的に落ち着かなくなりイライラする。といった症状が出ることもあります。中には眼球が前に押し出される「眼球突出」や甲状腺の腫れなどがみられることもあります。ほかには周期性四肢麻痺と呼ばれる筋肉の麻痺を起こしたり、女性の場合は月経不順が起こったりすることもあります。自己免疫性疾患のひとつで、体の中で特殊な「自己抗体」が作られ、これが甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンを過剰分泌させます。なぜ抗体が作られてしまうのか原因ははっきりしていません。遺伝的な要因のほかストレスや喫煙、過労などと関連があるとされています。先ず、触診で甲状腺の腫れを確認します。血液検査では血中の甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモンの量と、バセドウ病の特徴である甲状腺刺激ホルモン受容体抗体TRAb)、あるいは刺激抗体あるかを検査します。また、放射性ヨウ素を使ってホルモンの原料となっているヨウ素が甲状腺に多く取りこまれるかを調べるアイソトープ検査(核医学検査)も行うことがあります。また、超音波検査で甲状腺の大きさや血流の状態、しこりがあるかどうかを確認し、ほかの疾患がないかどうかも調べます。甲状腺ホルモンの分泌量が多いと、心臓に負担がかかることもあるため、心電図や胸部レントゲン検査を行うこともあります。①薬物療法(抗甲状腺薬治療)多くの場合に第1選択となりますが、副作用が生じる可能性、治療効果に個人差が大きく、一旦寛解しても再発率が高いです。②放射性ヨウ素内用療法安全で効果が確実です。実施できる医療機関が限られています。③甲状腺摘除術最も早く確実に治療効果が得られます。全摘除を行うと甲状腺ホルモン薬の服用が必要になります。TSAb)が【免疫とは】【甲状腺はどんな臓器】甲状腺機能亢進症、バセドウ病、免疫異常甲状腺機能亢進症(バセドウ病)バセドウ病はどんな病気症状は?バセドウ病の原因バセドウ病の検査・診断バセドウ病の治療バセドウ病は免疫(めんえき)異常によって起こると言われています。免疫異常により甲状腺機能が過剰に活発化することによって、甲状腺ホルモンが本来よりも多く分泌されることで様々な症状が出てきます。人口1000人あたり0.2〜3.2人と報告され、20〜男女比は1:3〜5くらいと言われ女性の方が多いです。ヒトは普段から環境の変化にかかわらず、生体の状態を一定に保とうとする性質をもっています。この性質を保つために、ヒトは体内に侵入した病原菌や、がん細胞などの異物に対して、反応し、それらを攻撃して身体を守ろうとする機能を元々備えています。この反応のことを免疫と呼びます。ところが、この免疫に何らかの原因によって異常が起こると、感染症にかかりやすくなったり、生体に有害なアレルギー反応(免疫の過剰反応)を起こしたりします(免疫異常)。甲状腺は、喉仏(のどぼとけ)の下にあり、ちょうど蝶が羽を広げたような形をした臓器です。甲状腺ホルモンを分泌し、新陳代謝を促進する働きがあります。通常は、ホルモンの分泌量が多すぎたり少なすぎたりしないようバランスが保たれています。色は茶褐色で透明感のあるゼラチン様をしています。重さは正常で15g〜20gです。10|Pipette一般社団法人日本甲状腺学会http://www.japanthyroid.jp/doctor/guideline/japanese.html眼球突出イメージ             ((   30代の若い女性に多い病気です。眠い…疲れやすいなぁ…

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